キーエンスOBの識者が説く
「本音を引き出す」極意とは?

「こういう新商品を準備中なのですが、ご興味はいかがでしょうか?」。

 顧客のニーズを知るべく取引先を訪問した際、このように「購買意欲の有無」をいきなり聞いてしまう営業担当者は少なくない。だが大崎氏によると、顧客分析の段階で確認すべきなのは、先方の購買意欲ではなく課題や困りごとだ。

 その聞きだし方にもコツがある。「どんなことでお悩みですか?」と漠然とした質問を投げかけるのはNGだ。そのままでは表面的な答えしか得られないだろう。

 より深い議論をするためにも、過去の取引実績や担当者との会話などから、先方が抱えている課題について、あらかじめ仮説を立てておくべきだ。そして、「○○で困っていませんか?」と具体的な内容を投げかけてみる。

 仮説が当たっていれば、顧客は「自社のことをよく勉強しているな」と一目置き、「実はそうなんですよ…」と本音を話してくれるかもしれない。仮に違ったとしても、「いえ、ウチは○○が課題でして…」と、実態を教えてくれる可能性が高まる。この仮説検証を重ねながら、顧客の悩みを把握していくのだ。