仮説検証は「質」だけではなく
「量」も重要!
その一方で、「量」もこなすべきだと大崎氏は説く。世間一般では「質と量はどちらが大事か?」といった議論になることも多いが、顧客分析においては二者択一論ではなく、「両立」が肝心なのだという。
「量」の一つの目安として、大崎氏はキーエンスでの経験則を基に、「(先述した仮説検証を)最低でも20~30件程度は絶対にやるべきです」と指摘する。
「既存市場があって、そこに含まれる顧客の数を考えると、全てにヒアリングするのは現実的ではありません。ある程度の数をこなすことで『もう情報は増えなさそうだ』『だいたいこんな感じか』と見えてくるポイントがあります。その規模は少なくとも20~30件、多くて50件くらいは必要だと考えます」
ただし、この数字はあくまで目安に過ぎない。もし数をこなしても、市場全体に共通する課題やニーズの本質がつかめないようであれば、目安を超えても納得できるまで数をこなすのが重要だとしている。
なお大崎氏によると、仮説検証を重ねる中で「この商品は買ってもらえる」という確証が高まってきた場合は、もう一歩踏み込んで「値付け」についての質問を取引先にぶつけてみるのも、商品の収益性を高める上で有効だという。
具体的には、前述した仮説検証の最終段階で良い返事がもらえた場合などに、「いくらなら買っていただけますか?」「それはなぜですか?」と率直に聞いてみるのだ。