井上 英国のアーム社など、すごいですよ。孫さんは10失敗しても、1つでかいのを当てればいいという考えですから。

弘兼 それは作詞家の秋元康さんも似てますね。僕は秋元さんとも交流があるのですが、彼はいろんなことをやって、結構失敗してるんですよ。でも、AKB48とかすごいのを一発当てる。孫さんも少しそれに近いのかなという気がします。

井上篤夫氏井上篤夫氏 Photo by Motoyuki Ishibashi

井上 秋元さんとの比較ははじめて聞きました。興味深いですね。我われはAKBとかヒットしたものしか知らないですからね。

弘兼 日本酒の「獺祭」で有名な旭酒造の桜井博志会長とも懇意にしているのですが、彼もいっぱい失敗してるんですよ。

 だけど一発当てるというか、オーナー社長はここぞというときの勝負。そこをうまくやる人はやっぱりすごい人だなと思いますね。

 その点で岸田(文雄)首相はサラリーマン社長という感じですね。

井上 なかなか決められない。

弘兼 小泉(純一郎元首相)さんなんかはオーナー社長っぽい感じがします。自分で考えて、「いいからみんなやれー!」って感じじゃないですか。

井上 確かに。その人の持って生まれたもの、性格というか、ベンチャー気質みたいなものもあるでしょうけどね。

弘兼 ベンチャー気質はやっぱり孫さんはすごいですよね。まずアメリカに行くっていうことからしてね。孫さんは東大ではなく、高校卒業後にいきなり米国に留学して、カリフォルニア大学バークレー校で優秀な成績を残した。

海外で見た「衰退する日本」

井上 僕も弘兼さんも同じ団塊の世代で、孫さんは10歳下ですが、当時はとにかく外を見てこい、海外に目を向けろという時代でしたよね。