子どもの興味を引き出す
「意図なしクイズ」

「世界一高い山はエベレストではありません。それはどこにあるでしょう。そしてなぜでしょう」

 これは実際に長男と次男、それぞれ別の機会に投げかけた質問です。長男はこの話を知っていて、みごと正解。次男はこちらがだいぶ誘導して、答えが出てくるまでに5分ほどかかりました。

 私の子どもたちはこの類の「意外な事実」クイズが好きなので、飲食店で注文後に食事が出てくるのを待つときや、車に乗っているときなど、よく出題しています。

 これも前項に引き続き、5分の魅力的な使い方として私の定番になっています。クイズの内容もさまざまで、「宇宙でいちばん速いのは光ですが、どれくらい早いでしょうか」とか、「セブンイレブンの看板には“7&i”と書いてあるけど、ではこの“7”の後に続く“i”とは何でしょう」みたいな具合です。

 別にテストに出るからでも、地理にくわしくなってほしいからでもなく、1つひとつのクイズに特に意図はありません。ただ、こんな話を日常的にしていると、どこかで点と点がつながっていろんなことに興味を抱きはじめる、そういうタイミングがやってくるのではないかと信じています。

 時おり、ネタを仕入れるために私がやっているのは、ごくごく簡単な物理の本にざっと目を通してみることです。数字や数式などが出てこない、一般の人向けに書かれたもので十分。見慣れた自然現象や技術がどんな原理で動いているのか。その世界は常に発見や驚きに満ちあふれているので、きっと子どもたちも喜んでくれることと思います。池内了氏の『科学は、どこまで進化しているか』、大河内直彦氏の『「地球のからくり」に挑む』、リチャード・ムラー氏の『サイエンス入門Ⅰ、Ⅱ』あたりは特におすすめです。

 ちなみに冒頭のクイズの答えはハワイのマウナケアです。富士山より高く大きな山ですが、実際には山底が海底にあり、そこから測ると高さは1万メートルを超えるとか。エベレストよりも高いというので驚きです。

 必ずしも本を読んだり準備が必要ではありません。堅苦しく考えるのはやめて、日常生活を送っている中で知ったことや驚いたことをクイズ形式にアレンジして問いかけてみると、それだけで子どもの反応は変わってくるように思います。