忙しい毎日、たった5分間だけでも子どもたちと触れ合って、お互い満足できるような時間の使い方がある。ユニークな事業と多様な働き方で注目され続けている起業家で、3児の父でもある著者が実践する、先回りでも放任でもない “いい距離感” の子育て方法とは。本稿は、西村 琢『だから声かけ、話し合う 親と子の気持ちいい関係をつくる 「やってみた」と「話してみた」』(東洋館出版社)の一部を抜粋・編集したものです。
たとえ「5分」だけでも
子どもと遊ぶと良い理由
子どもの感じている時間の感覚は大人のそれとは大幅に違うなと感じることが少なくありません。どこかで待ち合わせなどする際も、ある程度の回数をこなさないと「時間に間に合わせる」「遅れている」などという感覚は生まれてきません。それを逆手に取って、子どもから「遊ぼう」と提案を受けたとき、忙しくて5分くらいしか時間が取れなかったとしても相手してあげてみることをおすすめします。
今だと在宅勤務の日などで、学校から帰ってきた子どもにすかさず「サッカーしよう」と声をかけられたりします。仕事の合間だから相手をしてあげられるとしても5分か10分。大人の感覚だと、つまりそれはNOだと思い込んでしまいそうですが、子どもにとっては5分でも割と満足してくれることも少なくないというのが私の印象です。
休日だって同じです。5分でいいから相手してあげる。それだけで子どもは喜んでくれることがよくあります。もちろん「もっともっと」となることもありますが。ただ、子どもの時間感覚が大人のそれと大きく異なることは確実です。
たった5分でも立派な予定、楽しい思い出になるというのは最近話題のタイム・パフォーマンスの観点からも悪い話じゃないと思います。
ちなみに、これを逆手にとって、こちらから5分だけ一緒に過ごすことを提案することも少なくありません。暑い時期ですと「アイス買いに行こうか」が多く、週に1度か2週に1度くらいは、そんなふうに声をかけている気がします。
家から歩いて1分のミニスーパーまで一緒に行って、アイスの冷凍庫をのぞきながらどれにしようか迷って、店主のおじさんとすこし話して帰ってくる。そして帰ってきたら一緒に食べる。たったそれだけ。発案から終了まで、文字通り5分とか、長くても10分。ですが私にとってはかけがえのない大切な時間です。