「あの人、えこひいきしている」というウワサが上司にとって本当に怖い納得の理由写真はイメージです Photo:PIXTA

「人事評価」は管理職にとって重要な仕事だ。誰もが「公平に評価しよう」と思っているはずだが、実はこれはとても難しい。「えこひいきしている」と思われないためにはどうすればいいのか。(山田進太郎D&I財団 COO 石倉秀明)

「公平に評価する」のは難しい
バイアスの存在を認識しよう

 管理職としての重要な仕事の一つに、部下の「人事評価」がある。読者の皆さんの中にも、年に1~2回は部下の仕事ぶりや業績を評価し、その結果を部下に対してフィードバックする機会がある人もいるだろう。

 1人の管理職の評価のみで全てが決まるわけではないが、部下の給与や社内での評価に影響を及ぼすため、非常に重要な業務であることに間違いはない。

 評価が良かったり給与が上がったりした部下であれば何の問題もないわけだが、期待していたよりも評価が低かった場合や、給与が下がってしまう場合などには、それを部下に伝えなければならない。あまり心地よい仕事ではないかもしれない。

 大事な仕事だからこそ、多くの上司は、部下の評価はできるだけ「公平」につけようと考える。もちろん仕事ぶりを評価している人には高い評価をつけるし、そうでない人にはそれなりの評価をつけているはずだ。

 しかし、上司自身にどれだけ公平に評価している自負があっても、周囲から「あの人はXXXさんをえこひいきしているよね」「課長はAさん気に入っているからね」と思われてしまったら、部下からの信頼は一気に落ちてしまう。

 実際のところ、公平に評価をしているつもりでも、人間であればバイアス(偏り)は存在する。

 バイアスがあること自体は仕方ないことだが、それを認識せずに「自分は公平だ」と勘違いし、実はバイアスまみれの評価を下してしまうのは問題だ。そのことで、周囲から反感を買ったり、逆に部下から気に入られるような行動ばかりをされてしまったりする管理職になってはいけない。

 では、どんな場面でバイアスは生じ、評価にどう影響を与えているのだろうか。