株主総会2024#2Photo:PIXTA

かつて「シャンシャン」といわれた株主総会が、経営者にとって針のむしろのような場に変わっている。「物言わぬ株主」とやゆされた機関投資家が豹変し、投資先企業の経営トップ再任に反対する事例が頻発しているからだ。彼らの議決権行使基準は年々厳格化されており、その基準を満たせない社長は“ダメ経営者”の烙印を押され、退場を迫られることになる。(ダイヤモンド編集部副編集長 重石岳史)

キヤノン御手洗氏が解任目前!
女性取締役不在に大株主が「反対」

 キヤノンの御手洗冨士夫会長兼社長CEO(最高経営責任者)が、取締役選任議案で50.6%という空前の低賛成率をたたき出したのは、2023年3月の株主総会のことだ。

 御手洗氏といえば、1995年から社長としてキヤノンを率い、日本経済団体連合会会長も務めた財界の重鎮だ。その御手洗氏が、アクティビスト(物言う株主)から解任議案を出されたわけでもない平穏な株主総会で、取締役選任に必要な過半数をわずかに上回る薄氷の得票だったことに当時、衝撃が走った。御手洗氏の22年総会の賛成率は75.3%だった。

 低賛成率の原因は、女性取締役が不在だったことにある。

 取締役会の多様性確保が叫ばれる中、大手機関投資家は女性取締役1人以上の選任を求め、それが達成できていない場合は代表取締役再任に反対する議決権行使基準を設けている。キヤノンは当時、御手洗氏を含む取締役5人全員が60代以上の男性だった。

 この一件に懲りたのか、キヤノンは今年3月の株主総会では前消費者庁長官の伊藤明子氏を新任取締役に迎え入れ、御手洗氏の賛成率は90.9%に回復した。

 だが、株主の賛成率が低い経営者は御手洗氏だけではない。

 キヤノンのような12月期決算企業は、同時期に株主総会を終えている。そこで社長や会長ら経営トップの賛成率を集計し、賛成率が低い経営者のワーストランキングを作成した。その上位20人を次ページで実名公開する。

 また女性不在など取締役構成の問題以外にも、機関投資家が経営トップの再任に反対する新たな基準が判明した。この先、基準がどのように厳格化されるかも予想したので、株主総会で社長解任の憂き目に遭いたくなければ、それを参考に今から対策を講じるべきだろう。