バーのムードに
そぐわない現代の神器
誤解しないでいただきたいが、これだからオジサンは……と苦言を呈したいわけではない。なぜなら、若者にも共通して見られる無作法だって少なくないからだ。
最たるものはスマホとパソコンだろう。居酒屋であれば気に留めないが、ジャズのかかった薄暗いカウンターで突然、「もしもし」と話し始めるのは、完全なるマナー違反。これについては通話禁止の説明書きがあるバーも多いし、店外へ出て話すよう促されるのが普通である。
筆者の店でも、1度、2度まではスルーしたものの、3度目でさすがに「すみません、お席での通話は……」とやったら、2度と来なくなってしまった顔なじみの客がいた。いい年をして注意されたのが気に入らなかったのだろう。ならば、最低限のマナーは覚えておいてほしいのが店側の本音だ。
また、カウンターでパソコンを広げたがる客にも困ってしまう。どれほど仕事が忙しく、急を要するのだとしても、他の客には関係ない。スマホの小さな画面であればさておき、暗い空間で煌々と輝くモニターは無粋でしかなく、雰囲気は台無しだ。
もちろん、バーの側とて何でもかんでもしゃくし定規にやりたいわけではない。気心の知れた常連客に、客がいないタイミングで「ごめん、5分だけパソコン触らせて」と言われれば、気持ちよく「どうぞ」と言える。すべては他の客への配慮なのだから。
