2029年までのIMF世界経済見通し
2%物価目標実現でも日本は低成長続く
日本銀行は2%物価目標の実現が景気と物価の好循環のもと見通せる状況になったとして、3月の利上げに続き、7月には国債買い入れの減額に踏み出すことを表明した。
消費者物価の上昇率が2%を安定的に上回るようになり、日本経済は持続的な成長軌道に戻るというシナリオが現実味を帯びてきたとの判断からだといわれる。
だが直近、公表されたIMF(国際通貨基金)の「世界経済見通し(WEO)」(改定版)が予想する日本経済の姿はこれとはかなり異なる。
2029年までを見通す中で、日本の消費者物価上昇率は今後、2%程度になるが、実質GDP成長率は、26年からは1%未満に落ち込み、27年以降は0.4%~0.6%だ。一人当たりのGDPはG7の中では「最低国」となり、アジアの中でも韓国や台湾に追い越されるなど、主要国の中での日本の“劣後”が際立つ予測になっている。
物価上昇率が高まっても経済が改善されるわけではないのだ。