でもマテシッツさんが2022年に亡くなって、その状況も変わりつつあるのかもしれません。

 おそらくマクラーレンも昔は違っていたと思います。1980年代前半から35年以上もチームを率いてきたロン・デニスさんのような絶対的な権力を持っているリーダーがマクラーレンからいなくなり、株主や投資家から資金を得て、成績が出なくなると変わらざるを得ないと思います。

 ホンダは2026年からの復帰を決めたときにレッドブルと再び組むことも考えましたが、結局は断念しました。レッドブルがホンダの撤退表明直後から自分たちのパワーユニットの製造会社レッドブル・パワートレインズに急ピッチで莫大な投資をして、立派なパワーユニットの開発施設をすでに完成させていたからです。

 レッドブルとホンダがもう一度組むことになるとすれば、レッドブルがガタガタになったときしかありません。レッドブルがパワーユニット開発に投入した巨額の投資が無駄だったということを認めざるを得ないようなところまで落ちないと難しいと思います。

 レッドブルは自分たちで勝てるパワーユニットをつくろうと考え、レッドブル・パワートレインズを設立し、最初はポルシェと手を組もうとしました。ところがポルシェとの交渉はうまくいきませんでした。

ホンダがアストンマーティンを
パートナーに決めた最大の理由

 それでメルセデスなどからスタッフをリクルートしてパワーユニットの開発をしてみたけれども、そう簡単にはいかなかった。そこでホンダと2026年シーズン以降も一緒に組んで戦えないかと声をかけてきました。

 レッドブルの要求は、内燃機関のエンジンは自分たちでつくるので、バッテリーの部分だけを協力してほしいというものでした。