しかし、それではホンダとしては技術者の発掘や育成が達成できませんし、カーボンニュートラル燃料も含めた環境技術の開発もできなくなってしまいます。
最終的にホンダは独自の道を進むことを決断しました。その後、いくつかのチームと交渉した結果、アストンマーティンの反応が一番よかったということです。ワークスの価値を認めてくれ、対等の立場で協力しながら開発しようと言ってくれたアストンマーティンと組むことになりました。

浅木泰昭 著
オーナーのストロールさんはすごく喜んでくれましたし、彼の情熱は本物です。もちろん現時点ではアストンマーティン・ホンダがどうなるかはわかりませんが、少なくとも2015年にマクラーレンと組んだときのようには絶対にならないと断言できます。トラブルが続出して完走すらままならないという、あんな恥ずかしいことにはならないと思いますが、いきなり勝てるかといえばわかりません。
でも能力的には勝ってもおかしくないと思います。アストンマーティンはレッドブルから優秀な人材を引き抜いています。彼らがつくり上げた車体の出来がよく、新レギュレーションのもとでホンダのパワーユニットに優位性があって、両者がうまく噛み合ったら、いきなりトップ争いに加わってもおかしくないと思います。そうなるようにしてほしいというのが、私からホンダの後輩たちへのメッセージです。