10年連続で算数オリンピック入賞者を輩出している彦根市発の知る人ぞ知る塾「りんご塾」。天才を生み出すそのユニークな教育メソッドを、塾長の田邉亨氏が初公開した書籍『10年連続、算数オリンピック入賞者を出した塾長が教える 「算数力」は小3までに育てなさい』(ダイヤモンド社刊)が、このたび発売になった。本書を抜粋しながら、家庭にも取り入れられるそのノウハウを紹介する。

【算数オリンピック入賞者多数輩出の塾長が語る】子どもの才能を開花させる親、無意識につぶす親の決定的な違いPhoto: Adobe Stock

子どもが才能を開花させるために親のアシストは必要

 前回、「マイブーム」のある子(熱中体験のある子)が後伸びするとお話しました。子どもがマイブームを持ち才能を開花させるためには、親のアシストが必須です。

 もちろん、成熟度が高い子は、「自分は◯◯が好き」と言葉にして伝えることができますが、そうでないこともよくあります。

 例えば、毎週日曜日に放送されるアニメを、かぶりつくように見ているとします。

 それが戦隊ものだったら、「ヒーローに憧れているのかなぁ」と思うかもしれません。だけど、実はヒーローが好きなわけではなく、敵として現れる恐竜が好きなのかもしれない。舞台となっている宇宙船が好きなのかもしれない。それを親は見極めて、子どもが本当に興味を持っているものを与えてあげなくてはいけません。

 これは、意外と難しいです。そして、後々後悔する親御さんが多いです。

子どものマイブームは一瞬で終わることもある

 以前、お子さんがすでに大学生になったお母さんと話したとき、興味深いことをおっしゃっていました。

 お子さんは女の子で、幼稚園生のときディズニー映画にハマっていたそうです。何回も何回も見て、セリフを丸暗記していたそう。「大人でも覚えられないのに、何かの才能があるのかな?」と嬉しく思い、好きにさせていたそうです。

 ところが、娘さんは次第に熱が冷めていき、小学校も学年が進むにつれて何かにハマるとか集中力を見せるといったことは、全くなくなったそう。

「そのときはわかんないじゃないですか。その後も続くと思っていたから。結局今は、すごくこぢんまりまとまってしまいました……。きっとあのときに何か手を打っていたら、もっと才能が花開いていたのかもしれませんね……」とのこと。

 たしかに、そのときはわからないんですよね。「あぁ、すごいわぁ。この子は何か特別な才能があるのかもしれない。将来が楽しみだわぁ」で、終わりがちです。

 けれども、より深く没頭させて才能を開花させるためには、「燃料」を与えなくてはいけません。

 ディズニー映画をよく見ているなら、ディズニーが好きなのかな? おとぎ話が好きなのかな? それともセリフに興味があるのかな? と興味を分析して、例えばミュージカルに連れて行ったり、劇団に入れてみたりして、「好き」を加熱させてあげることが大切なのです。

*本記事は、『10年連続、算数オリンピック入賞者を出した塾長が教える 「算数力」は小3までに育てなさい』(田邉亨著・ダイヤモンド社刊)から抜粋・編集したものです。