10年連続で算数オリンピック入賞者を輩出している彦根市発の知る人ぞ知る塾「りんご塾」。天才を生み出すそのユニークな教育メソッドを、塾長の田邉亨氏が初公開した書籍『10年連続、算数オリンピック入賞者を出した塾長が教える 「算数力」は小3までに育てなさい』(ダイヤモンド社刊)が、このたび発売になった。本書を抜粋しながら、家庭にも取り入れられるそのノウハウを紹介する。

【算数オリンピック入賞者多数輩出の塾長が語る】小学校3年生までに乗り越えておくべき「経験」とは?Photo: Adobe Stock

「成長の踊り場」は早めに経験させて

「成長の踊り場」と呼ばれるものがあります(踊り場というのは、階段と階段の間にあるフラットな部分)。

 普通は勉強していくと、1段ずつ階段を上っていくように成長していきます。
しかし、あるとき突然、それまでのように成長しなくなることがあります。今までは、階段を10上れば10の成長を得られていたのに、階段を20上っても20の成長は得られず、10や5の結果しか手に入らなくなります。つまり、努力と結果が比例しなくなる。子どもにとって、初めて「壁」が現れるのです。

 小1~3年生で、学校の算数をやっているだけでは、なかなか壁にぶち当たることはありません。簡単だし、上れる階段のレベルが制限されているからです。

 そのため、多くの子どもたちは、小4以降に進学塾に通い出し、難しい問題を大量に勉強するようになって、初めて壁にぶち当たります。そうすると、子どもは動揺します。周りの大人も、中学受験まで時間がないため焦ります。子どもにもっと頑張るようにプレッシャーをかけたり、努力が足りないせいだとなじったりすることもあるでしょう。

 しかし、子どもからすると、たまったものではありません。ちゃんと頑張っているのに結果が出なくて辛いうえに、圧をかけられるんですから。「結果が出ないなら、努力しても無駄じゃん」と、投げやりになってもおかしくありません。

 一方、小1~3年生のうちに先取り学習をして、早期に壁にぶち当たる経験をさせた場合はどうでしょう。私に言わせるとメリットしかありません。

□中学受験まで時間があるから、余裕を持って対応できる
□「勉強というのはそんなに簡単なものではない」と気付き、能動的になる
壁を1度乗り越えることで、その後ぐーんと伸びる(早い分、それを複数回経験できる可能性がある)

 だから、ぜひとも小3までの間に先取り学習をさせてあげてください。失敗しても問題がないときに挑戦して、実際に失敗して、経験を積んでおくことが、学歴社会を生き抜く最強の方法です。

*本記事は、『10年連続、算数オリンピック入賞者を出した塾長が教える 「算数力」は小3までに育てなさい』(田邉亨著・ダイヤモンド社刊)から抜粋・編集したものです。