大きな感動は「当たり前を超えた先」
に生まれる

 私が明治神宮の参道を歩いていたとき、掃き掃除専門の職人さんが、落葉を集めていました。

 ところが、勢いよく舞った落ち葉が、参拝客のひとりにかかってしまったのです。
 私はこの様子を見ていて、「これは、さすがに怒られちゃうかな?」と心配になりました。

 けれど、落ち葉をかけられた女性は、怒るどころか(怒るのが当たり前なのに)、「お掃除ありがとうございます」とお礼を述べ、笑顔を見せたのです。
 この女性の振る舞いに私が心を動かされたのは、「当たり前」を超えていたからです。

 私が体調を崩して入院したとき、友人でイメージ・コンサルタントの三上ナナエさんが、お見舞いにメロンを届けてくれました。
 手書きのメッセージカードには、

「このメロンをつくっている農園の人たちは、すごく心があたたかい人たちなんです。松澤さんには、そんなやさしい人たちがつくったメロンが合うと思いました」

と書かれていました。

 入院して心細いときに、メロンをいただいただけでも嬉しいのに、三上さんは「農園まで選んでくれた」のです。彼女の行動もまた、「当たり前」を超えていると思います。

 友人との会食に、尊敬する経営者のMさんをお招きしました。
 Mさんは「先約があり30分しか時間がありませんが、必ずうかがいます」と返事をくださいました。

 とても忙しい方ですから、お断りしてもいいはずなのに(断るのが当たり前なのに)、Mさんは約束どおり、来てくださいました。
 しかも「短い時間で申し訳ありません。お詫びに、これを」と言って、カバンからワインを取り出し、私たちにプレゼントしてくれたのです。

「当たり前を超えた行動をする」

 大きな感動は「当たり前を超えた先」に、生まれるものだと思います。
 私の経験上、こうした「当たり前を超えた行動ができる人」は、1〜2%です。でも、この人たちは、常に相手を大事に思い、「あの人を笑顔にするには、どうしたらいいのだろう?」と関心を寄せ、一歩先に目を向けているのです。

 だからこそ、多くの人から慕われる人になっているのでしょうね。

(※この記事の最終回となります)


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