人気復活の要因は「手厚い就職サポート」
女子大の人気復活という声もある。その大きな理由のひとつは、「就職に強い」ことだ。たしかに大規模な共学と比べた場合、女子大では授業だけでなく、就職活動でも個別のきめこまかな指導が受けやすい。キャリアセンターやOGによる全面的なバックアップ体制が整っており、就職後の支援まで手厚いところもある。
が、そうした女子大の良さを生かしている大学がある一方、長期の人気凋落で苦しんでいる大学も少なくない。本書で紹介した女子大の多くは「うまくいっているほう」で、かつては世間にもてはやされたが、今やその存在意義が問われている女子大も郊外や地方にたくさんあると聞く。おそらく現在は、女子大の二極化が進んでいるのだ。
日本という市場が縮小する中、一般職採用は派遣雇用などに置き換わっていった。それは同時に、少しずつだが、会社の基幹を担う総合職の門戸を「優秀な女子」に広げてきた歴史でもあった。今後は男性中心だった職場にも、ますます女性の進出が広がっていくはずだ。
企業も女子大に将来リーダーシップを発揮できる人材を求めるだろう。それに応えられる底力のある学生を育てられるかどうか。上位の共学で優秀な男子と一緒にもまれた女子に負けない、女子大ならではの強みを学生個々にどう与えられるか。各校の「伝統」に基づいた、教育の底力が試されている。