自転車旅行の実践
テクノロジーが支える新しい冒険
実際にフランスを自転車で走ろうと考えたとき、それではどこを走ればいいかなと思ったら、そのエリアが提供するサイクリングマップを参考にするのが一番だ。フランス各地の観光局ホームページに推奨コースが掲載されていて、ダウンロード可能。便利なアプリもある。スマホのGPS機能と連動して、現在位置はもちろん、道案内もしてくれる。
このGPSという機能が旅のしやすさを格段に高めてくれたのは確実だ。それはスマホアプリだけでなく、各社GPSスポーツウォッチなどの3万円ほどで購入できるアイテムでも当てはまり、それを駆使することでじつは海外旅行など見知らぬ土地で思わぬ威力を発揮する。
継続的に運動することのモチベーションとなって健康ライフをサポートしてくれる腕時計タイプのGPSスポーツウォッチだが、旅の足跡を簡単に記録できる。あの日はどこに行って、あそこまで何分かかったかなどが克明に記録されるのだ。これだけ高精度に位置情報が収集されるのだから、もっとスゴい活用方法があるんじゃないかと考えてみた。使えると思ったのが「帰巣機能」だ。
日本では町の作りはある程度同じなので来た道が分かる。ところが海外は歴史や文化が異なるので道路の張り巡らせ方が日本の感覚とは一致しない。とりわけ環状交差点は一瞬のうちに方角の感覚をマヒさせる。海外で道に迷うのは本当に簡単だ。そこでホテルなどのスタート地点でGPSスポーツウォッチのアクティビティを「開始」する。そうすることで地球上のその地点をGPSに捕捉させるのだ。迷子になった場合は「ナビ機能」などで、「もとに戻る」というコマンドを与えれば帰ることができる。
いずれにしても唯一注意したいのはバッテリー切れ。スマホアプリもGPSウォッチにも共通することで、出発前にはできるだけフル充電を心がけたい。
今回の旅も大詰めで、わずかな疲労を感じるが、7月21日の最終日は確実に見えてきた。これまでニームは猛暑で過酷という印象しかなかったが、高級ホテルで過ごし、朝の冷たい空気の中をローマ時代の円形闘技場などに行ってくると、一つの町に腰をおちつかせて街を楽しむのもいいなと思った。それができないのがツール・ド・フランスで、ホテルをそそくさとあとにして今日もゴールを目指すしかない。
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ツール・ド・フランス2024
第17ステージ(7月17日)