過去は今よりもっと過酷な時代
悲観的でいると国全体のツキを落とす

――運の3大条件として、「攻め」「挑戦」に加えて「楽観主義」を挙げています。

 私は小さい頃から「俺はいけるかもしれない」という根拠のない自信がありました。実績がゼロな段階からそう思えるのは、楽観としか言いようがない。でも、そうした希望を持っているから失敗しても挑戦できるものです。悲観的に考え、リスクを恐れて行動しないといつまでも成功は手にできません。果敢にチャレンジする楽観論者の方が成功の確率が高くなるのは当然でしょう。

 今、私が日本人に対して一番言いたいのは、「もう少し楽観的に考えて挑戦したらどうですか?」ということ。現代の日本人には、どうも悲観的な人が多いように思います。バブルがはじけてからどんどん悲観的になってしまった。

 敗戦から89年までの約45年間は、皆が明日も良くなるだろうと希望を抱いて生きてきた時代でした。毎日いろんなことがあるけど、未来はきっと良くなると信じて。

 ところが、89年以降はどんどん悲観的になって、希望が失われていく。メディアも悲観的な予想や話題ばかり。もういい加減にやめたらどうですかと言いたいね。

 楽観的な態度の人間はどこかバカっぽく見えるかもしれないけど、事実を並べれば多くの指標で世界は良くなっています。日本でも、1人当たりGDPは変わっていなくても、犯罪発生率はどんどん下がり、インターネットの普及で誰とでも会話が可能になった。

 過去は今よりもっと過酷な時代ですよ。私たちの祖先は極めて過酷、苛烈な時代を生き抜いてきた。こんな豊かで平和な時代に、それを享受しながら悲観的でばかりいると、国全体のツキを落としてしまいます。不確かな時代に子どもを産むのはかわいそうだと物知り顔に言う人がいますけど、「だったらあなたはどの時代に生まれたかったんですか?」と聞きたい。もちろん、いろいろ大変なことはあるけれど、それでも「今」じゃないですか?