
泉 秀一
#4
ブエノスアイレスには二つの顔がある。「内」では高級住宅街が欧州風の優雅さを演出し、「外」ではスラム街の貧困が現実を突きつける。この分断された社会で過半数の支持を集めた「アルゼンチンのトランプ」ミレイとは何者か。ロックバンドのボーカルから経済学者、そして大統領へ―幼少期の虐待体験とハイパーインフレの記憶が生んだ「代弁者」が映し出すのは、衰退に直面した社会の複雑な現実だった。

#3
「アルゼンチンから『CEPO(セポ)』がなくなります!!」――。突然、筆者の元に届いた1通のメール。日本人には全くなじみのない同国の経済用語だが、CEPOの解除はアルゼンチン国民の生活を根底から覆す一大事だ。かつて世界5位だった1人当たりGDPが82位まで転落した“衰退国”で、「アルゼンチンのトランプ」の異名を持つ過激な大統領が始めた「経済実験」の行方を占う。

番外編
いまや半導体は、国家の産業競争力の鍵を握る“戦略物資”となった。AI(人工知能)データセンターや自動運転、スマートデバイスーーこうした成長分野の全てに不可欠な存在であり、世界の経済秩序に影響を与えるほどの力を持っている。しかし、その技術や産業構造は極めて複雑で、全体像を正確に把握するのは簡単ではない。半導体の基礎知識から、製造工程、グローバルな供給網まで分かりやすく解説。さらに、今注目すべき61社を、視覚的に理解できるインフォグラフィックスで紹介する。半導体を知ることは、世界のテクノロジーの潮流を読むことに他ならない。

#2
海外の旅に欠かせないのが現地通貨への両替だ。「衰退国家」を求めて地球の裏側、アルゼンチンを訪れた初日、最初に直面した“謎”が独自の両替システムだった。政府が黙認せざるを得ない闇レートが存在する同国の両替事情を探索し、日本円の行く末を考える。

#1
円安、インフレ、産業の停滞…。物価が青天井で上がる傍ら、手取りの増加は追いつかず、日本人の生活は苦しくなるばかりだ。グローバルで輝く新興企業も出てきていない。今、日本は「衰退」の二文字が現実味を帯びている。しかし、これまで「成長」と「停滞」しか経験してこなかった現代の日本人は、本当の意味の「衰退」を知らない。本連載「美しき衰退」では、日本に先立って衰退したかつての「先進国」を渡り歩き、そのリアルを伝えていく。まずは地球の裏側、アルゼンチンから始まる「衰退の旅」へ、ようこそ。

#3
「ドン・キホーテ」で知られるパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)は34期連続の増収増益を達成し、時価総額は約2.5兆円、小売業界4位の巨大企業へと急成長した。小売りの“異端児”である創業者の安田隆夫氏の緊急インタビューの後編では、「引退後」の会社の姿から勝ち続ける経営者の条件、後継者選びや息子の処遇、皆に贈りたい「遺言」まで本音を吐露してもらった。

#2
時価総額にして約2.5兆円。小売業界でファーストリテイリング、セブン&アイ・ホールディングス、イオンに次ぐ企業価値を誇るのが「ドン・キホーテ」で知られるパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)だ。1989年に府中で1号店を出店して以来、34期連続で増収増益を続けている。一代で巨大企業を築き上げた創業者の安田隆夫氏は、75歳にしてこれから「最後の務め」を果たすのだという。安田氏に最後の務めの中身と成長の秘訣、日本経済への思いを明かしてもらった。

#1
ドンキ創業者「引退準備」開始、泥棒市場から小売業界4位に躍進した混乱と成長の35年
「ドン・キホーテ」で知られるパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)が慌ただしい。創業者である安田隆夫氏が引退の準備に動き出した。今年に入ってから息子が入社し、経営陣、大株主を含めた後継体制を整備中だ。東京・西荻窪で35年前に「泥棒市場」から始まったPPIHは、今や時価総額にして2.5兆円を誇る、小売業界4位の巨大企業へと成長した。緊急特集『ドンキ創業者 安田隆夫の「遺言」』では、引退を前にした安田氏による独占告白をお届けする。特集の#1では、インタビューの前段として小売りの“異端児”のこれまでを振り返る。
