仕事を任せた後に
行うべき大切なこと

 仕事を任せた後は「任せ切る」ことが大切です。上司や経営者は、任せた相手が自分と同じ考えを持ち、同じように行動しないと違和感を抱くものなので、どうしても部下がしていることに口を挟みたくなります。しかし、そこは我慢が必要です。失敗によって大きな損害が出ることが明らかな場合を除き、結果が出るまで静観し、すべて任せ切るようにしましょう。

 ただし、放置するということではありません。私がセブン‐イレブンのフランチャイズ店を経営していたときは、商品の発注を担当しているスタッフと、売り上げ動向について、毎日5分で結果検証を行い、次の一手を決めていました。

 その場で上司が行うのは、主に任せた仕事に対する部下へのフィードバックです。フィードバックとは、現状をありのまま相手に伝えることです。これにより、部下は自分の行動を客観的に見つめることができるようになります。

 部下の行動が任せた側の意図とずれている場合がありますが、その際は、頭ごなしに否定はせずに、まずは部下の意図を聞き出してください。仕事に取り組む際、部下は何らかの意図を持って行動しています。考え方や目指している方向(ゴール)が間違えていれば「教育」が必要ですが、そうでなければ、行動の修正はしません。

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 部下の考えを否定して、上司の意見(指示)を伝えてしまうと、次からは自分で考えずに指示待ちのスタンスになるからです。これでは成長は望めませんし、仕事にやりがいを感じなくなります。

 任せた後に結果検証を行い、フィードバックを繰り返し行うことで、部下は自ら正解を見つけられるようになり、成果を上げられるようになります。そうすれば、自分で考える力が付き、成長が加速します。

 最後にお伝えしたいのは、「誰から任せられたのか?」により、部下のやる気、取り組み方、結果は大きく変わるということです。「この人から任せられたのだから頑張ろう!」と思われることが大切です。そのためには、リスペクトされる上司、経営者になることです。そのような上司、経営者から任せられた仕事であれば、部下は一生懸命に取り組もうと思えるでしょう。