漫才師だけではなく、補習塾「寺子屋こやや」の経営者としても活動するお笑いコンビ「笑い飯」の哲夫さん。塾は、リーズナブルな料金設定で苦手科目の補習に特化していること、人間性を育む指導も取り入れた内容が、好評を得ているという。インタビュー記事後編では、哲夫さんが塾にかける想いや経営方針、塾を通して成し遂げたい展望について話を聞いた。(コピーライター 橋本未来)
>>前編『マドンナに嫌われ、ズボンからは異臭…サエない中学生が進学校→教員志望を経て芸人になったワケ』を読む
吉本社員の子の塾代6万円に驚き
誰でも気軽に通える塾を創業
――いつから塾を経営したいと思っていたのですか?
大学時代の友達が仕事をやめて、「なんか、一緒にやらへん?」って相談されまして。何をやろうってなった時に、未来に投資できることをやりたいなと。それで、僕が資金を出してあげて塾をやることになったんです。
――どうして塾だったのですか?
吉本(興業)の社員さんと話していた時に、お子さんが通ってる塾代が6万円って聞いてね。僕らの頃やったら家の近所の塾で月に数千円でしたから、その金額にめちゃくちゃ驚いて。お金を持ってる人ばっかりが賢くなる世の中は良くないな、どんな人でも気軽に通える塾がいいなと思ったんです。
――料金設定を見ると、とてもリーズナブルですよね。
大阪市は塾の助成金が1万円出るので、それを活用すれば多くの人に通ってもらえそうな金額設定にしています。それと、カリキュラムを作って授業をするんじゃなくて、補習がメインです。好きな時間に来てもらって、苦手やと思う科目を重点的に勉強する。苦手な科目があるから勉強に抵抗感を持つんで、それを払拭(ふっしょく)してあげようと。
――独自の勉強法や授業には、こだわっていないのですね?
公教育を大切にしたいんですよ。学校の先生も必死で努力をされてますから。それを支えるというか、公教育を生かせるような役割になりたい。あと、こっちから「これをやってください」じゃなくて、生徒さんから「これを教えてほしい」という流れなんで、自主性を育めるでしょ。自分で分からないことを探して、質問して、理解してっていう流れの中で学びも深まりますしね。
――生徒さんはどれくらい集まっているのですか?
塾を開いた当初の目標通り、大阪市内に2つの教室があって約80名のお子さんが通ってくれています。正直、コロナ禍は経営的にしんどい時期もあって、僕が事業資金を補填する時もあったんです。でも、それも後輩芸人にご飯をごちそうするみたいなもんで、「これで、またがんばってや!」みたいなね。そんな感じで支えたこともあったんですが、なんとか軌道に乗ったという感じです。