「実は超シビア」な明大入試
現代文・古文・漢文を60分で解く!

 まず前提知識についてお伝えすると、確かに問題の難易度は、MARCHよりも早慶のほうが高いといえます。しかし、求められる能力や制限時間は、大学ごとに特性があります。

 どちらかというと、MARCHは短い時間の中で、基礎的な問題をとりこぼさず、的確に処理できる人が合格します。早慶はやや時間的余裕がある中で、難問・奇問を解ける学生が有利になります。

 たとえば、私が受けた明治の文学部であれば、国語・英語の制限時間は60分のみです(私が合格した早大教育学部はいずれも90分でした)。その時間内に、英語であれば長文読解の大問を3問、国語も現代文・古文・漢文の3分野の問題を解き切らねばなりません。

 設問に対する「正しい答え」を導き出せたとしても、思考に時間がかかってしまい、時間配分をミスすれば高得点は望めません。少しでも時間をロスしたら、取り返しがつかなくなるシビアな入試なのです。

 ここで勝敗を分けるのが「過去問への習熟度」です。日頃からMARCHの過去問を解いて傾向に慣れていれば、例年はどのような問題量で、どのような問われ方をしていて、どのポイントを抑えれば答えが導き出せるか――がわかっているので、余分なタイムロスはなくて済みます。

 入試本番でも、開始の合図とともにサッと問題用紙を確認し、出題内容と問題の量が例年と大きく変わらないことを確認できれば、過去問演習と同じ時間配分・解答順で落ち着いて臨めるでしょう。

 私は9浪目の受験期に明治を受験するにあたり、苦手だった英語の対策に力を入れ、過去問3年分を解いてから本番に臨みました。その結果、事前に時間配分を考えていたこともあり、7割超の得点が取れました。

 ところが、得意だったはずの国語はほぼ「ぶっつけ本番」で臨んだ挙句、適切な時間配分が分からずに焦ってしまい、集中できず、時間も足りずに半分の得点で終わってしまいました。これが不合格につながってしまいました。

 当時の私のように、早慶志望の学生は「早慶に入りたい」という思いが強すぎるあまり、MARCHの対策が後手に回りがちです。実際、私の周囲でMARCHに落ちて早慶に受かった人は「MARCHの過去問を1回も解かなかった」「特定の科目の過去問で高得点が取れたので安心し、他の科目を解かなかった」といったパターンが多かったように思います。