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最強ベンチャーキャピタル3社のファンド設立で
信頼性が高まった「グーグルグラス」の未来

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第241回】 2013年4月17日
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1社あたり最大200万ドルの投資も
面白い開発を誘発するきっかけに

 この手のファンドは、これまでも設立されたことがあった。いずれもクライナー・パーキンズによるものだったが、2008年にはiPhoneアプリ開発のための2億ドル規模のファンドを、そして2010年にはフェイスブックまわりなど、仲間とコンテンツを共有することを可能にするサービスのために2億5000万ドル規模のファンドをつくっている。

 こうしたファンドが作られると、プログラマーやエンジニアたちが「ちょっとやってみようか」と動き出す。かくしてそのプラットフォームの周辺に賑わいが生まれ、新しい市場が作られるわけだ。iPhoneのアプリなどは、まさにそうしたかたちで続々とディベロッパーたちが集まってきた。今回は、3強ベンチャーキャピタルの資金を受ければ、彼らのネットワークからこれまた強力な技術や人材に対するアドバイスも受けられるのが魅力だ。

 グーグルグラスは、インターネットサービスのようなスクリーンの中だけのできごとではなくて、ウェアラブルコンピュータというモノであること自体も、面白い開発を誘発するきっかけになるだろう。当初は音声のコマンドによって検索したり、写真を撮ったり、地図を呼び出したりといったことができるという触れ込みだったが、その後フレーム部分をタッチして操作するということもできるようになったらしい。

 新しいアプリケーションがもっとたくさん出てくると、たとえば目の前でジェスチャー入力するのを可能にしようとする開発者も出てくるかもしれないし、ゲームで使われているような脳波を利用した操作なども夢ではない。

 そこまで行かなくとも、「お腹がすいた」とひとこと口にするだけで、回りにあるレストランやカフェを地図上に表示してくれるアプリケーションなどあれば嬉しい。そんなアプリケーションが学習型で、ピザとかハンバーグとか、ユーザーの好みを知っていて、そうしたレストランだけを表示してくれたりすると、もうグーグルグラスが手放せなくなるだろう。

 今回のファンドの規模は不明だが、1社あたり25万ドルから200万ドルまでの投資を予定しているという。グーグルグラスは、プライバシー問題などまだ課題も多いが、技術として離陸すればコンピュータの新時代が訪れることは間違いない。

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瀧口範子
[ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。

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