「電池切れ」を除けば
トラブルの多さは「どっちもどっち」!?
JAFによると、BEVドライバーからのロードサービス出動要請は、2022年は7306件であったのに対し、2023年は8625件と約18%増加していた。
2024年5月には月662件の出動要請があり、理由としてもっとも多かったのは「タイヤのパンク、バースト、エアー圧不足」(242件、36.6%)だった。
これだけを見ると「BEVはバッテリーを積んでいて重量があるからタイヤのトラブルが多いのだろう」と思われるかもしれないが、実はそうでもない。ガソリン車やハイブリッド車も含んだ4輪車全体の出動要請理由(2024年5月)を見てみると、「タイヤのパンク、バースト、エアー圧不足」は一般道の22.3%、高速道路の41.6%を占めていた。タイヤのトラブルはEVに固有の不具合ではなく、あらゆる車種に共通するものだと言えそうだ。
BEVドライバーからの出動要請理由として2番目に多かったのは「過放電バッテリー」(136件、20.5%)だった。大容量の走行用バッテリーを搭載するBEVだが、ヘッドランプやカーエアコン、オーディオといった補器類の電源は一般的な12Vバッテリーを使用している。
これらを混同し、「BEVなので電力は豊富にある。だから多めに使っても大丈夫」と考えて補器類を使いすぎた結果、バッテリーが「上がってしまった」ドライバーも中にはいるようだ。
ただし、「過放電バッテリー」も4輪車全体の出動要請理由の上位(一般道の34.7%/1位、高速道路の5.4%/4位)に付けており、こちらも「BEVに特有のトラブル」とは言い切れない結果となった。
BEVドライバーからの出動要請理由として3番目に多かったのは「駆動用電池切れ」(58件、8.8%)。いわゆる「電欠」である。BEVのドライバーは絶えず電欠のリスクを気にかけながら運転しているはずだが、充電のタイミングを読み違えると電欠する可能性がつきまとう。思いがけず渋滞にはまってしまい、充電スポットに行けないまま電欠になってしまった――ということだってあるだろう。
ここで4輪車全体の出動要請理由を見てみると、「燃料切れ」が一般道の7位(1.7%)、高速道路の2位(9.4%)に付けていた。エネルギー切れも、車種を問わず普遍的な悩みなのかもしれない。