日本における外食チェーンのフランチャイズは人口が右肩上がりで増えていく高度経済成長期からバブル景気くらいにかけて大きく成長した。そのこともあって、商品開発、マーケティング、立地ではマス(大衆)を狙う戦略がとられてきた。要するに、老若男女が好きなものを美味しく安く提供して、人の通行量の多い駅近や繁華街、国道沿いなどに店をたくさん出すということが、成功の方程式だった。

 しかし、人口減少によってそれがガラガラと崩れているのはご承知の通りである。65歳以上の高齢者は人口の3割を占めており、50歳以上で見れば5割だ。若者は少数派になったことに加えて貧しい。年功序列の賃金体系と社会保障で、日本は若い人ほど負担が重い国なのだ。

 そのように社会の高齢化で「マス」が完全に消滅した今、外食企業が成長していくには多数派である50歳以上の嗜好に寄せて、50歳以上が好む食事を、50歳以上が快適に感じる店舗形態で提供をしていくのだ。

 そのように時代に必要な「高齢化対応」をうまくパッケージに落とし込んでいるのが、「鰻の成瀬」のフランチャイズシステムだ、と筆者は考えている。

「鰻の成瀬」が見抜いた“客の本音”

 そもそも高齢者はうなぎが好きだ。

 総務省が発表した2022年の家計調査によれば、2人以上世帯で「うなぎのかば焼き」を最も多く購入していたのは「70代以上の世帯」だった。30代世帯の平均購入金額に比べると、70代以上世帯はなんと約4.4倍、40代の世帯と比べても約2.5倍となったのである。