これには大きく頷く人も多いのではないか。筆者も先日、高齢で食が細くなった親に夏を乗り切れるように何かうまいものでも食べに行こうと提案したら「うなぎなら食べられる」というので、地元で有名な老舗うなぎ店に行ったが、平日の昼間にも高齢者で大混雑していた。

 また、それからほどなくして近所の「鰻の成瀬」に1人で行ったときも、店内は筆者と同じ50代くらいの女性グループや40代くらいのサラリーマン、50代くらいのご夫婦などかなり年齢層高めで、店員の2人が一番若そうだった。

 さて、こういう話を聞くと、「じゃあ、うちも高齢者対応でうなぎメニューを始めるか」と考えるような外食関係者も多いだろうが、それがまさしくプロダクトアウトというか、消費者目線の欠如というやつだ。

 日本の消費者は「安くてうまいうなぎが食べられるのなら牛丼屋でもファミレスでもどこでもいい」などと思っている人は少数派で、大多数は「どうせ食べるなら、うなぎ屋で美味いうなぎを食べたい」と思っているからだ。

 日用品流通の情報基盤を運営する株式会社プラネットが2018年にモニター3714名を対象に、うなぎに関する意識調査を行った。

 こちらでも年齢が高くなるほどうなぎを好み、頻繁に食べる傾向が浮かび上がっているが、それよりも注目すべきは「食べる場所」だ。

「土用の丑の日」に食べるうなぎについて、食事形態や購入先について尋ねたところ、最も多かったのは、「スーパー、デパ地下などの食料品売り場のうな重・うなぎ弁当・蒲焼き」(65.3%)で、その次に「うなぎ専門店」(31.7%)だった。