一方、うなぎ専門店以外の飲食店は9.5%、各社が力を入れている牛丼チェーンにいたっては5.5%にとどまっている。

 当たり前っちゃあ当たり前の話なのだが、日本の消費者は「うなぎはうなぎ屋で食べたい」のである。

 では、外食業界がそんな消費者の欲求にしっかり応えていたかというと、決してそうとは言い難い。高齢化や後継者不足で、老舗のうなぎ専門店は続々と減少をしている。

大手チェーンが絶対に真似できない独自ポジション

 うなぎ店の全国組織である「一般社団法人全国鰻蒲焼商協会」の公式Webサイトを見ると、会員となっているのは全国で49店舗しかない。また、うなぎに関するさまざまな情報を扱い、創刊40年の歴史を誇るフリーぺーパー『うなぎ百選』があるのだが、これを置いているうなぎ店も101店舗しかない。

 もちろん、こうした組織に加盟していないうなぎ店も山ほどあるわけだが、他の飲食店と比べると「うなぎ専門店」の数が少ない印象は否めない。それに加えて、「安いうなぎ専門店」もプレイヤーも限られていた。名古屋を中心に展開する「うなぎのうな泰」や関西風の「にょろ助」などだ。

 多くの消費者、特に高齢者は「やっぱりたまに食べるうなぎだから、牛丼屋とかファミレスじゃなくて、鰻屋さんで本格的なものを食べたよね」という意識があるのに、その「受け皿」がなかったという需要と供給のミスマッチが生じていたのだ。