なぜホワイトソースが「サラサラ」なのか?
《これはかなりレベルの高い技術で、しかも、使用するバターの量が全然違う。バターを増やすとしつこくなると思われがちですが、そうではなく、キレがよくなります。バターは動物性の脂肪なので、融点が高い。それでキレ味がよくなるのです》
《日本では、値段の高いバターの代わりにマーガリンをよく使います。マーガリンは植物性油脂だから、融点が低い。常温でも溶け出してしまうので、ベタッと舌に残るのです。固まらないからです。さらに、小麦粉がたくさん入っている。その結果、ボテッとした重たいソースになるのです。 ホワイトソースのキレの違いは、食べたあとに実感できます》(同書)
今回紹介した本は、サイゼリヤ創業者・正垣泰彦氏の天才的な発想を、論理的に実現していった「ナンバー2」の目線で書かれたものだ。正垣氏の著作も面白いのだが、その一つひとつを現実的に裏付けていった堀埜氏の記述には、説得力がある。
クラークソンの農業経営を見ていても、もし農業をやるなら、売り先を強く意識したものではないとダメだと感じる。よほど特徴的な作物を栽培しない限り、毎年のように変わる市場価格に振り回されることになりそうだ。サイゼリヤの強さの背景にも、やはり圧倒的な規模による優位性がある。
農業もレストラン経営も、決して生やさしいものではない。私のような人間は一生手を出すべきではない、ということがよくわかった。