経済メディア大戦争!

 他の雑誌でセールス特集が売れていればセールス特集を、話し方特集が売れていれば話し方特集を展開するという具合である。日経グループは、経営者には経営について、話し方特集には話し方の専門家に聞くという紙面作りの傾向がある。

 これに対し、プレジデントは有名経営者に話し方のコツを語らせるというアプローチをとった。日経が多くの経営者に広く意見を求める傾向がある一方で、プレジデントは人気のある経営者に焦点を絞ってインタビューした。

 この違いは、おそらく日経が巨大な組織であるがゆえに、縦割りの強い組織構造を持つことに起因していると考えられる。プレジデントは、こうした縦割り構造にとらわれない柔軟な特集を組むことで戦いを挑んだ。

 その結果、紙の雑誌というカテゴリーでは日経ビジネスを抜いて一番の地位を獲得するに至った。近年では、無料のニュースメディアとして日経帝国に挑戦したのが東洋経済オンラインである。

 彼らがどこまで日経と競い合っている意識を持っていたかは不明だが、一般的に高付加価値とされる経済メディアが「無料」で価値あるニュースを提供し続けたことは、業界に衝撃を与えた。