「社員のファンづくり」の幅広い効果
「社員のファンづくり」は、中小企業でも比較的簡単に取り組めて、しかもその効果は広範囲にわたります。
なにより、人の採用がしやすくなります。
最近はアルバイトも含めて、本当に人が集まらないと聞きます。給与を上げてもまったく応募がないケースもあるようです。私の会社はそこまで困っていませんが、よりよい人材を採用したいと考えています。これは大企業、中小企業、ベンチャーも含めて経営者が共通して感じていることでしょう。
しかし、人事担当者や採用担当者が自社のファンになれば、採用力はアップします。自社が好きで候補者との対話に熱量があれば、新卒でも中途でも応募者に響くはずです。
また、近年の採用活動では、社員の紹介によるリファーラル採用が注目されています。
自社のファンになった社員が自分の会社について誇りを持ってポジティブな話をあちこちでしてくれていれば、自然と人が集まります。
さらに、採用した社員の退職率が下がります。退職率が下がることで採用経費や無駄になる育成コストを抑え、その分を人件費に回すことができます。売上が伸びなくても、給与水準を引き上げやすくなるはずです。
退職率の低下は、社員のエンゲージメントの向上の現れでもあります。エンゲージメントとは、会社に対する帰属意識や仕事への愛着のことです。これが充実すれば、社員の仕事がより丁寧になります。
社員のエンゲージメントが向上すれば、組織の生産性も上がります。社員同士のコミュニケーションが活発になり、組織としてのミスや無駄が減るからです。
さらに、エンゲージメントの高い社員を通して、外部のステークホルダーの間にファンが増えます。いくら広告などに力を入れても、顧客や取引先と日々接するのは現場の社員です。彼ら彼女たちがネガティブなことを口にしたり、暗い表情を見せたり、不愛想な態度をとるだけで企業イメージはダウンし、業績は低迷するでしょう。
一方、「社員のファンづくり」によって彼ら彼女たちが生き生きと働き、よい印象を外部のステークホルダーに与えればファンが増え、売上につながります。
中小企業にとって、難しいノウハウ不要で資金もさほどかけずに取り組める経営改革が「社員のファンづくり」なのです。「社員のファンづくり」は単独で取り組んでもいいですし、ほかの経営改革と同時に行えば必ず相乗効果をもたらします。
これからの時代、中小企業にとって「社員のファンづくり」の重要性に気づかないことは大きな損失となるでしょう。