製袋業から物流トータルコーディネートへ、4代目はフラメンコダンサーから転身自社開発の真空成形トレイ

 しかし生コンの普及に伴い、セメント袋の需要が減ってきました。そこで90年代にエレクトロニクス製品の緩衝材事業に進出しました。さらに、お客さまの要望に応える形で真空成形トレイを試作するようになったり、マテハン機器を開発したり、と守備範囲が広がっていき、現在のような業態に至ったわけです。

 営業エリアはしばらく北陸だけでしたが、リーマンショックでの業績低迷を受け、2010年に東京や名古屋に営業所を開設し、全国展開へ。また、お客さまの海外展開をサポートするために、13年にはベトナム支社を立ち上げ、現地で真空成形トレイの生産を始めました。

――時代に合わせて変化したのですね。

高木 長期的には緩やかに成長してきましたが、緩衝材に進出する前後は苦しかったようです。当時、金融機関から厳しいことを言われたようですが、富山信用金庫さんだけは親身に寄り添ってくれたそうです。

――社長は4代目だそうですね。

高木 11年に入社しました。大学在学中に日本のコンクールで優勝したのを機に、プロのフラメンコダンサーになり日本とスペインを行き来していたのですが、2年後に、父に「そろそろ帰ってこい」と呼ばれたのです。

 入社すると、「海外にいたから大丈夫だろう」と、1人でベトナムに送り込まれ、ゼロから工場を立ち上げました。5年ほどで累積赤字が解消でき、帰国。22年に社長になりました。その数年前から次期幹部メンバーと第2次中期経営計画の策定などで準備していたので、スムーズに交代できました。

――就任後に取り組んだことは?

製袋業から物流トータルコーディネートへ、4代目はフラメンコダンサーから転身社内の「KAIZEN表彰」の様子

高木 自社の強みを洗い直すために顧客アンケートを取ったところ、「改善」が浮かび上がりました。以前から1人月4件の改善がノルマで、お客さまに改善活動の様子をご覧いただくことで取引に結び付けていました。

 そこで第3次中期経営計画の軸に「改善カンパニー」を打ち出し、「KAIZEN BANSO Pack」を立ち上げました。これまでお客さまの改善に貢献した内容を整理し、お客さまの悩みを診断できるリストを作成。診断に沿って30~40個の改善策を提案する仕組みを作り上げたのです。

 その結果、営業から「どこに新規営業に行っても怖くない」と言われるようになったり、複数の事業部が共同で改善を行って横展開するようになったり、と好影響が生まれています。

――今後の抱負をお聞かせください。

高木 目標は30年にグループ年商100億円。そのためのカギが海外事業です。現在ベトナムで包装提案や試作、量産を行ってお客さまをサポートしていますが、次はメキシコでも同じ事業を展開します。人材をベトナムに派遣して育成しており、今年中の進出を目指しています。

(取材・文/杉山直隆 、「しんきん経営情報」2024年9月号掲載)

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事業内容:物流包装サービス 従業員数:111人
売上高:33億9000万円(2024年4月期)
所在地:富山県富山市三郷9(富山企業団地内) 電話:076-478-5550
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