なぜか。それは、彼自身が若い頃には「イエスマン」ではなかったからです。

 もちろん、全ての「気難しい上司」がそうだと言い切ることはできません。しかし、「気難しい」ということは、「確固たる自分の意見を持っている」ということです。

 独自の意見や見解がなければ、気難しくなる必要がありません。「そういう場合は、こういうやり方が良い」「この問題には、こういうふうに対処したらうまくいく」――そういった自分の考えがあるから、異なる意見に対して「なぜ、そう思うのか」と確認したくなるのです。

 たしかに、彼の中に蓄積された過去の経験、とりわけ成功体験に裏付けられた仕事のやり方、考え方を覆すのは困難です。しかし、彼自身が、当時の上司との意見の相違を覆して自分のやり方を押し通したのであれば、現在の部下であるあなたの提案を聞き入れない理由はありません。正面から向き合って議論することができれば、彼は必ず、あなたの主張を理解し、しっかり検討してくれます。

 そういう関係を築くためにはどうすればいいでしょうか?