HOWではなく
WHY/WHATで合意する

 相談を繰り返し、お互いの考え方に対して共通認識ができあがったら、下準備は完了です。

 ここからは、合意形成のお話です。気難しい上司は、熱い思いを持つ人であることが多いので、その「思い」の部分を共有していきましょう。

 5W1Hでいうところの「WHY」、すなわち「なぜ、やりたいのか」です。当然ながら、何をやりたいのかが明確でなければいけません。思い=WHYと、やりたいこと=WHATをセットで合意することになります。

 ここで、やりがちな失敗が「HOW」すなわち「やり方」の話をしてしまうことです。

 例えば、「若者をターゲットにしたテレビCMを打ちたいので、芸能人の○○さんを起用したい」というような話は、典型的なHOWです。

 こういうHOWには、突っ込みどころがたくさんあります。

・なぜ、若者をターゲットにしたいのか
・なぜ、テレビCMなのか
・なぜ、芸能人の○○さんなのか

 こうした話になってくると、合意形成は果てしなく遠くなります。

 ここで合意すべきは「この商品は、若いときから使い始めてもらいたいが、既存ユーザーの年齢が上がっていってしまっている。このタイミングで新しい若年層を取り込んで、ブランドの若返りを図りたい」というような、WHYとWHATの話であるべきです。

 もちろん、このWHY/WHATが上司に受け入れてもらえるかは分かりません。しかし、この方向性にOKが出ていれば、芸能人を使ったテレビCMをやるかどうかは、些末な話です。

 上司の経験上もっとよい「やり方(HOW)」があるという話なら、そのアドバイスをもらった上で、改めて「より良いやり方」を再考していけばいいのです。