タイヤの角度が変わると
クルマの走行性能も変わる!

 たとえば、上から見たときの「トー角」が、スキー初心者がよくやるプルークボーゲンのように、前が狭くて後ろが広い状態(=トーイン状態)になっていると、ステアリング操作の影響を受けにくくなり、直進安定性が増します

 正面から見たときの「キャンバー角」に関しては、タイヤが“ハの字”に傾いている(下側が開いている)状態を「ネガティブキャンバー」、“逆ハの字”に傾いている(上側が開いている)状態を「ポジティブキャンバー」と呼びます。

 このうち、タイヤをほんの少しネガティブに設定する(外側に傾ける)と、ドライバーがハンドルを回すときに必要な力が軽減されます

 現代のクルマには操舵をサポートする「パワーステアリング(パワステ)」が付いているので、「キャンバー角の設定変更は不要では?」と感じる方もいるかもしれません。ただ実際は、ハンドルが重いとクルマへの負担が大きく、トルクもより大きな力が必要になり、エネルギーロスも大きくなります。

 キャンバー角を設定するもう一つの理由は、コーナリング時の安定性です。クルマが角を曲がる際、遠心力の働きなどによって、実はイン側タイヤが浮き、アウト側タイヤが沈みます。このときキャンバー角が付けられて(=タイヤが外側に傾いて)いると、アウト側のタイヤが直立状態に近くなるので、接地面積が増えて安定性が増します。

 レーシングカーの場合は、特にこの効果を狙ってキャンバー角を強めに設定します。キャンバー角を変えると走行抵抗も増減するので、コースごとに角度を変更しているのです。