「出っ歯」に「竹槍」…
不良が好むカスタムとは

 不良はこのほかにも、フロントバンパー下に取り付ける「リップスポイラー」を大きく前に張り出させたり(通称:出っ歯)、排気用の「マフラー」を天に向けてそびえ立たせたり(通称:竹槍)と、極端で過激な改造を好みます。

 これらは形状や寸法によっては違法改造となるのですが、タイヤを“ハの字”にする行為は上手に行えば合法です。詳細は省略しますが、クルマのタイヤのはみ出しは「許容範囲内であればOK」とされており、一定の基準を満たせば車検にも通ります。角度についても、タイヤの上部がボディ内に収まっていれば問題ないので、「鬼キャン」を合法的に行える場合もあります。

 とはいえ、先ほどの「タイヤに角度をつけると安定性が増す」という解説とは少々矛盾しますが、“ハの字”をあまりにもきつくすると、さすがに乗りにくくなります。気を遣って扱わねばならない部分も多くなりますが、そんなことは気にしないのが改造車好きです。

 それどころか、不良や改造車好きの世界には「乗りにくいクルマを華麗に操る美学」というものも存在します。前回の「車高」に関する記事にも書きましたが、不良は単に悪ぶりたくてクルマを改造しているわけではありません。彼らは、自分たちにとっての格好良さやオリジナリティ、理想の走りやデザインを追求しているのです。