ネット通販の潮流に乗り
「ライブコマース」を始めた企業も大損

「TikTok」運営元のByteDanceが中国向けに展開しているショート動画SNS「抖音(Douyin)」のクライアント企業も例外ではない。Douyinではインフルエンサーがライブ動画を配信しながら商品を宣伝する「ライブコマース」が人気で、利用者を増やしてきた。

 特に中国人女性はインフルエンサーが着ている服や化粧に魅せられ、「同じものを買いたい」と勢いよく購入するケースが多い。だが昨今は「買ってみたら思っていたのと違った」と返品する例が続出している。それだけではなく、「よその店のほうが安かったから返品する」というのもよくある理由になっている。

 では実際に、中国の消費者は、どんな感覚で返品システムを使っているのか。

 中国人の妻と子供と一緒に、中国で暮らす日本人の「華村」氏は、テキスト配信サービス「note」の記事で、度を越えているように見える「妻の返品事情」について触れている。以下、ご本人の許可を得て、その一部を掲載しよう(※改行位置は一部変更しているが、それ以外は原文ママ)。

「(前略)うちは双子が産まれたわけでも、もちろん隠し子がいるわけでもないのですが、なぜ2台のベビーカーが必要なのでしょうか。答えは、嫁が2台とも試してみたいからとりあえず注文してみた、ということでした。どちらがよいかを比較し、気に入らなかったほうは返品してしまえばいいというわけです。

(中略)僕の知る限りでは中国では買ったものの返品、とりわけネット通販におけるそれは日本より非常に簡単で、特段の事情がなくとも手軽に行えます。手続きもアプリからすぐにできますし、商品の種類による制限もほとんどありません。金額も多くの場合は満額で返ってきます。

嫁はこの手軽な返品を利用し、いろいろなものを試してはすぐに返品する癖があるのですが、ベビーカーに関してもその癖が出たようです。」

『中国の簡単すぎる返品、むしろ消費者にとって損じゃないか説』より)

 さらに、華村氏の妻はベビーカーだけでなく、シーツも返品していたとのことだ。