実質賃金2カ月連続プラス、賃上げに“粘着性”与える「3つの変化」Photo:PIXTA

7月実質賃金、2カ月連続で前年比プラス化
名目賃金4.8%増、実質賃金1.8%増

 今月5日、厚生労働省は7月分の「毎月勤労統計」を発表した。

 それによると、同一の事業所をサンプルとする「共通事業所系列」では、7月の1人当たり名目賃金の増加率は前年同月比+4.8%となった。6月の同+5.1%からプラス幅が縮小したとはいえ、2カ月連続で高い伸び率を保った。

 また、消費者の購買力に相当する実質賃金(=名目賃金/物価)も前年比+1.8%と、6月に続いて前年比プラスとなり、2カ月連続での「プラス化」だ(図表1)。

 こうした賃金の高い伸びを牽引(けんいん)したのは、夏のボーナスだ。したがって、ボーナスの影響が出尽くしたタイミングで、賃金の伸び率がいったん下がるリスクはある。

 しかし、より長い視点に立った時、賃金が粘着的に伸びる環境は形成されつつある。

 労働人口減少などによる(1)人手不足や、転職者の増加など(2)労働力の移動の活発化、さらにはソフトウエア投資などによる(3)労働生産性向上の可能性―の三つの環境の変化だ。