世界には内向型文化の国と外向型文化の国がある。積極的にコミュニケーションを取りにいく外向型文化の代表ともいえるのがアメリカ合衆国だ。台湾出身で、超内向型でありながら超外向型社会アメリカで成功を収めたジル・チャン氏の世界的ベストセラー『「静かな人」の戦略書──騒がしすぎるこの世界で内向型が静かな力を発揮する法』によると、実際にアメリカに行ってみると意外な驚きがあったという。今回は、日本や台湾を含めた東アジアとアメリカの「内向的な人」の違いをチャン氏に尋ねてみた。(構成/ダイヤモンド社・森遥香)

超内向型の台湾人が「超外向型のアメリカ」に行って驚いたこと・ベスト1ジル・チャン氏(Photo by Wang Kai-Yun)

「超外向型社会」アメリカに行って驚いたこと

──『「静かな人」の戦略書』に、アメリカも、じつは内向型の人ほうが多いと書かれていて、驚きました。

ジル・チャン氏(以下、チャン氏) そうなんです。アメリカは外向型の文化として知られていますが、じつは外向型より内向型の人のほうが0.004パーセント多いというデータがあります。

 私もこれにはとても驚きました。これは、NERIS性格診断テストの推計で、抽出標本に用いられた人数は2200万人以上にも及びます。見たところ外向型に見えるアメリカでも、私たち内向型の苦労をわかってくれる人は、最低でも1100万人はいるわけです(笑)。

アメリカが外向型だらけに見える理由

──アメリカといえば外向型だらけの印象があったので意外です。東アジアとアメリカの「内向型」にはどのような違いがありますか?

チャン氏 アメリカ人の同僚と議論をして最終的に得た結論は、アメリカ人は幼いころから社交的な場面で外向的な振る舞いができるように教育されるので、内向的な人も外向的に見えるということです。

 長期にわたって学校で、外向的な立ち振る舞いが求められるので、内向的な子どもも、まわりを気にせずに自分の意見を表現したり、立ち上がって意見を言ったり、手を挙げたりできるようになるのでしょう。

 一方で、日本や台湾を含む東アジアは内向的な人に優しいというか、わざわざ外向的な振る舞いをするように教育されることはありません。むしろ、クラスの中では静かにしないといけなかったり、質問の時間が用意されていなかったり、自己表現をする機会が非常に少ないと思います。

アメリカ社会が外向的な行動を求めている

チャン氏 つまり、欧米と日本や台湾といった東アジアでは、社会的な期待値が違うのだと思います。アメリカではどんな人に対しても外向的に振る舞うように奨励するし、東アジアは外向的な人に対しても静かでいることを良しとします。

 外向的か内向的かは、一見すると個人の問題ですが、文化的な側面もあります。

 なので、海外で社会的な期待値が異なる状況に立たされたときには、同じ人であっても振る舞い方が変わります。東アジアとアメリカの「内向的な人」の差異は、個人の性格と社会的な期待値の両方が影響して生まれているのだと思います。

※本記事は、『「静かな人」の戦略書』の著者に話をうかがったものです。