「褒める」と「おだてる」は違う
判断ミスで部下の一生は台無しに…

 言葉遣いに加えて、大切なのは伝え方です。そして、その際にもう一つ注意が必要なのは、「褒める」と「おだてる」は違うということです。

 褒めることの前提には、人の長所を生かすという前提があります。その優れたところを「良い」というのが褒めるということです。人の長所を見つける目も必要です。逆に駄目なところは駄目だと言う。おだてるというのは、たいしたことのないことをすごいということです。

 リーダーの側に褒めることとおだてることをきちっと区別し、駄目なことは駄目という覚悟がないと、部下に対する対応も甘くなり、不必要におだてることにもなりかねません。すると、部下はリーダーを甘く見て、仕事をばかにして、働かなくなります。それでは組織のパフォーマンスは出ず、部下の一生を台無しにすることにもつながります。

 さらに、言葉選びと伝え方の工夫に加えて、会社が部下に期待していることを明確に伝えることが大事です。あいまいにしてはいけません。期待の「解像度」を上げるのです。

 期待を明確にせずに、“この部下は仕事ができない”と切り捨ててしまっては、部下にとっては不幸です。お金と時間をかけて育ててきた人材の能力を生かせないのは、組織にとっても不幸なことです。