実は、サンリオのキャラクターには“仕事を選ばずに”他企業とのコラボがしやすい仕組みが織り込まれているのです。

 キャラクターは、「出身別」に以下の4種類に大別できるとされています。

1. アニメ、マンガなどのコンテンツ起点のキャラクター:ポケモン、ドラえもんなど
2. キャラクター商品などキャラクタービジネス起点のキャラクター:ハローキティ、リラックマなど
3. ゆるキャラなど公的機関起点のキャラクター:くまモンなど
4. 企業ブランド起点のキャラクター:ドコモのドコモダケなど
※簡逸威「 キャラクター・ライセンス・ビジネスモデルに関するー考察―京都キャラクター管理の提案―」(2018年)などの資料を参考に整理

 このうち、サンリオのキャラクターは2つめの「キャラクタービジネス起点のキャラクター」に相当します。サンリオでは、社員デザイナーがキャラクター開発を行っており、キャラクターの著作権は全てサンリオに帰属しています。

 このため、利害関係者が多く、権利関係が複雑になりがちなアニメなどの「コンテンツ起点のキャラクター」に比べ、キャラクターのIP(知的財産)としての取り扱いがシンプルです。結果、コラボ企業にとってサンリオは、圧倒的にスピーディーにコラボが進めやすいという利点があります。

 また、コンテンツ起点のキャラクターの場合、コンテンツの世界観から逸脱できないというのが、コラボの“難所”になることがあります。一方、前述のコラボ例からも分かるように、しがらみのないハローキティはコラボ企業のデザインの自由度も高く、キャラクターのアレンジがしやすいとも言われています。

 また、サンリオがIP(知的財産)を直接持っているため、アニメのように利害関係者が多く、マージンが発生するコンテンツ起点のキャラクターに比べ、コラボ企業にとっては構造上、ロイヤリティーの支払いが押さえられるというメリットもあると考えられます。

ハローキティに投資を集中
「ブロックバスター戦略」の光と影

 サンリオは、他企業がサンリオとコラボしやすい仕組みを生かしつつ、最強のキャラクターであるハローキティに投資を集中しました。加えて、レディー・ガガ(2009年にはハローキティのドレス着用)をはじめとする国内外のセレブがSNSなどで取り上げたことも追い風になりました。この結果、14年3月期には営業利益が過去最高となる210憶円を達成したのです。

 特定の人気商品に宣伝費などのリソースを大量に投入して大ヒットを生み出し、企業全体の売り上げを伸長する戦略は、「ブロックバスター戦略」と呼ばれます。