男女別学は時代遅れの間違った教育なのか――。8月に公立の男女別学校が多く残る埼玉で、県教育委員会が「共学化推進」の方針を打ち出したことが賛否両論を呼んだ。SAPIXの広野雅明先生に「中学受験の素朴な疑問」をぶつける連載。第11回は「男女別学教育の是非」を取り上げる。(聞き手・文/教育アドバイザー 鳥居りんこ)
共学化が進む中で
別学に進学するメリットは?
――最近では「社会に出たら男女が一緒に仕事をするのが普通のことなので、学校は社会の縮図であると考えたら、中高時代を男女で分ける必要はない」という保護者の声をよく耳にします。先生の共学と別学に対するご意見をお聞かせください。
共学志向があるのも事実ですね。しかし、一方で別学人気が衰えたわけではありません。別学は男子だけ女子だけという環境になるので、異性との適度な距離感が身に付かずに苦労するという説もありますが、そうとも限らないのではと思っています。
共学でも別学でも、大学や企業に入れば、男女が一緒に学び、働くわけです。大学入試が終わるまでは男だけ、女だけという環境でも悪くないように思いますけどね。
――特に近年では女子校が共学化するケースが激増していますが、中堅以下の女子校は厳しい運命になりますか?
確かに共学化して校名を変えて学校の大改革をやっている女子校が目立ちますが、例えば、佼成学園と佼成学園女子・京華と京華女子・聖学院と女子聖学院のように、ゆるやかに一緒にやるようなことを増やしていくっていうのが第一歩なのではないでしょうか。特に京華女子は京華と同じ場所になりましたので校舎は別ですが、共学校に近い状態になりました。