あくまで、ご夫婦で子どもの教育方針について話し合ったうえで、子ども自身が勉強したいかどうかを確かめる。そして、それなりの勉強量をこなす覚悟があるかどうかを親が見定めてから、スタートすることだと思います。

 やはり現実問題として、高校が実質無償化されたとはいえ、私立中学校の学費は年間約100万円ほど必要になります。そこに入るまでの中学受験塾も同じ程度の費用がかかりますし、その後の大学受験も決して安くありません。

 親の経済的負担が非常に大きいのは確かです。

――費用の面以外で考慮しておいたほうがいいことはありますか?

 中学受験をするということは、当然ながら相当の勉強時間を確保しなければなりません。つまり、その代わりにできなくなることがあるということです。他の習い事や運動もそうですね。

 仮に、中学受験に必要な勉強時間を英語学習に充てれば、かなり実力がつきます。何に時間と予算をかけるのかということを天秤に掛けたうえで、中学受験がいいのかどうかというのを冷静に考えないといけないと思いますね。

※全12回にわたって記事をお届けした短期集中連載「王者・SAPIXが教える『中学受験の正攻法』」は、こちらから一覧をご覧いただけます。

広野雅明さん
SAPIX教育事業本部本部長。SAPIX草創期から、一貫して算数を指導。算数科教科責任者・教務部長などを歴任。現在は、入試情報、広報活動、新規教育事業を担当。