塾高野球部の森林貴彦監督は、部員の主体性を重んじたチームづくりを実践しているリーダーの1人です。

 練習メニューや試合中の作戦やサインなども、選手たち自身に考えさせ、判断させています。甲子園の大舞台で、盗塁のサインが出ていないにもかかわらず自らの判断で盗塁を決める選手もいたほどです。選手1人ひとりに裁量を与え、主体性を引き出すことで、彼らが野球というスポーツに対して前向きに、チャレンジングに取り組める環境をつくっています。

「明るいチーム」を作るには
目先の結果に囚われないこと

 また、森林監督は「勝利至上主義」でなく「成長至上主義」を指導方針に掲げています。

 目先の勝ち負けだけを追うのであれば、経験のある監督が練習方法も試合中の作戦も1からすべて考え、指導した方が、最短距離で勝利にたどり着けるでしょう。でも、彼ら選手たちの人生は卒業後も何十年と続いていきます。森林監督の著書『Thinking Baseball』(東洋館出版社)には、その主体性を重視する指導者としての考えがつづられています。