「危機管理意識」があってこそ
真のプラス思考が生まれる

 筆者は、プラスの言葉や表情、態度によって、心の状態をポジティブに変えるメソッドについて、繰り返しお話ししてきました。

 ただ、これもよく誤解されるのですが、どんな状況でも「どうにかなるさ」と楽観的に受け止めよう、と言っているわけではありません。本当の意味でのプラス思考を備えた個人やチームには、不測の事態を想定し、前もって準備をする「危機管理意識」が必ず備わっています。

 甲子園で優勝を果たした塾高の選手たちは、試合後にさまざまなメディアのインタビューを受けていましたが、その中では次のようなやり取りがよく聞かれました。

「あのピンチの場面でも冷静な表情に見えましたが、どんなことを考えていたのですか?」

「はい、あそこは想定内のことだったので、落ち着いて次のバッターに集中することを考えていました」

 この「想定内」という言葉を、彼らは繰り返し発言していたのです。