名将率いる強豪校であっても、ギスギスした「暗いチーム」のモチベーションは長続きしない。メンバーが自ら考え行動し、ワクワクするような成功イメージを共有できる「明るいチーム」こそが、持続的に成果を出し続けられるのだ。2023年の夏、慶應義塾高校野球部を107年ぶりに甲子園優勝へと導いたメンタルコーチが、組織に必要な「主体性」と「危機管理意識」を説く。本稿は、吉岡眞司『強いチームはなぜ「明るい」のか』(幻冬舎新書)の一部を抜粋・編集したものです。
「暗いチーム」では
やる気が長続きしない
「明るいチーム」をつくるうえでのリーダーの心がまえとマネジメントにおけるポイントについて、とりわけ重要なキーワードである「主体性」と「危機管理意識」を中心にお話しします。
「そもそも成果を挙げるためには本当に『明るいチーム』でなければいけないのでしょうか?『明るいチーム』でなくても優れた結果を残した例はたくさんあるのでは?」
こういう質問をよく受けます。読者の皆さんの中にも、そんな疑問を抱いた方がいるかもしれません。
ご指摘はもっともで、結果を出すためには、必ずしも「明るいチーム」である必要はありません。
朝から晩まで練習に明け暮れ、名将と言われる監督が強権的な指導を行い、結果として優勝を成し遂げる……といった強豪チームは、どのスポーツにも少なからず存在します。監督の言うことは絶対服従で、練習中にミスをしたり、やる気のないプレーをしたら監督の怒号が飛ぶようなチームは、決して明るいチームとはいえないでしょう。
それでも、なぜ「明るいチーム」をつくるべきなのか。
結局のところ「暗いチーム」では、長続きしないからです。やっている本人たちが楽しくない、ワクワクしない状況で無理に頑張らせても、短期的には可能かもしれませんが、長続きはしません。