ロボタクシー(自動運転タクシー)に運転手は要らないかもしれない。だが乗客は必要で、それもたくさん必要だ。これは当たり前に聞こえるかもしれない。だが、米電気自動車(EV)メーカー、テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が自前のロボタクシーを発表する計画を4月に明らかにした際、投資家のとっさの反応はある企業から手を引くことだった。月に1回は配車や出前で利用する顧客をすでに1億5000万人抱えている企業、つまり米配車サービス大手ウーバー・テクノロジーズだ。同社はその後の4カ月間で時価総額の4分の1近くを失った。足元では下落分をほぼ取り戻している。押し上げ要因の一つは、自動運転車を手掛けるウェイモやクルーズとの提携だ。費用のかかる無人タクシーの採算性を確保するには一定の利用者が必要であり、ウーバーの巨大な顧客基盤が大きな意味を持つ、という理屈が説得力を持つ。