正解:買うべきでない。のれんに減損が発生する可能性も。

K社は収益力が低い

 まず、K社の営業利益率を計算しましょう。

第17期営業利益率
=営業利益÷売上収益×100
=2÷100×100
2%

第18期営業利益率
=▲2÷100×100
▲2%

 17期の営業利益率は2%でした。営業利益率は低く、収益は不安定と考えられます。

 18期には営業損失を計上し、営業利益率は▲2%となりました。

 続いて、18期のROE(自己資本利益率)を計算しましょう。最終損益は2期連続で赤字(純損失)でROEもマイナスです。

第18期ROE
=純利益÷自己資本×100
=▲4÷30×100
約▲13%

売上が伸びていない

 K社は、インターネット・サービス企業を次々と買収し、事業を拡大してきました。今は赤字でも、「将来黒字化して利益成長を牽引する」とK社経営陣は期待しているはずです。

 そこで重要なのは、売上高の伸びです。今赤字でも、売上高が急拡大していれば、近い将来、黒字化する期待が持てます。

 ところが、K社は17期から18期にかけて売上高は横ばいで、まったく成長していません。

 売上高の伸びがゼロで、2期連続で純損失を計上していることを考えると、買収した事業が、近い将来黒字化する見込みは薄いと考えられます。

「のれん」に減損損失が発生する可能性も

 のれんとは、企業買収によって獲得した、目に見えない「超過収益を生む価値」のことです。現在または近い将来、利益を稼いでいく期待があるから、計上できるものです。

 ところがK社は売上の伸びがなく、2期連続で純損失を計上していることから、近い将来、のれんの価値を減損しなければならなくなる懸念もあります。

 万一のれんの価値がゼロと判断されると、のれん30がゼロになります。自己資本が30しかありませんので、のれんをゼロにすると、自己資本がほとんどなくなってしまいます。

 株価が下がっているというだけで、こういう危ない企業に投資すべきではありません。

(本稿は、『株トレ ファンダメンタルズ編』から抜粋・編集したものです。)