「売れない商品は即リストラ!」は三流の仕事
絞りに絞られたメニュー構成を見ると、売れない商品はすぐに無くしてしまうのではないか、と考えがちだが、実際の運営方針は異なるようである。
サイゼリヤで2009年から2022年まで社長を務めた堀埜一成(ほりの・いっせい)氏は「プレジデントオンラインアカデミー」でメニューに対する独特の哲学を語っている。
彼は商品がすぐに売れなくても、ただ捨ててしまうのではなく、むしろ時間をかけて商品を改良し、ヒット商品に育てることに重きを置いているという。
《コンビニなど、常に新商品でお店をあふれさせられる場合は、パターンD(※最初だけ売れる)を狙った商品を次々と開発していてもよいでしょう。在庫を入れ替え続けるだけで、売り上げを確保することができるからです。飽きられたらまた別の商品を発売すればよいのですから、ひとつの商品が人気を長期間保てなくてもよいのです》
《 新商品を次々と販売できない場合は、パターンC(※ずっと売れない)と同じく売り上げは急降下していますから、パターンDの商品も販売をやめてしまいたくなるでしょう。しかしこのパターンDは、ヒット商品となる素質、パターンA(売れ続けて定番商品化)に変わる可能性が十分にある商品なのです》
堀埜氏の見解によれば、サイゼリヤは新商品の開発以上に既存商品の改良に力を入れているという。その方が時間や労力の面で効率的であり、コストを抑えつつも大きな効果を得られるということだ。
《じつは、サイゼリヤが最も労力をかけているのは、新商品の開発ではなく、既存商品の改良です》
《パターンDの商品をパターンAに変えることなのです》