高市氏は春・秋の例大祭と終戦の日に参拝してきた。総裁選でも首相に就任した場合、「ふだん通り、淡々とお参りしたい」と明言したことで、保守の皆さんから称賛されている。高市氏のカリスマ性の源泉となっている政治信条と言ってもいい。

 ただ、このテーマこそ実は最も「変節リスク」が高い。それも「歴史」を見れば明らかだ。

 自らの派閥を率いて党内でそれなりの影響力のあった安倍晋三元首相ですら3188日という首相在任期間中、靖国神社に参拝できたのは2013年1回のみ。しかも、春・秋の例大祭でもなければ、終戦の日でもない12月26日だ。

 という話を聞くと、「日本の首相が靖国を参拝するのは当たり前だ!それに反対するような売国議員どもなどはすべて落選させろ!」と鼻息荒くなってしまう人も多いと思うが、日本の首相が靖国参拝できないのはそういうイデオロギー的な問題だけではなく、「日米関係」への配慮もある。

 2013年12月26日、安倍元首相が在任中に靖国参拝をした際、オバマ政権はこんな異例の声明を出している(朝日新聞デジタル 2021年5月28日)。