「恋人に裏切られて怒りを感じる」→住職のアドバイスに「そう来たか!」と「そうは言っても…」が半々の気持ちになる写真はイメージです Photo:PIXTA

とかく人生とは思い通りにならないことや、うまくいかない事ばかり。そんなストレス社会を生きる私たちの心には、日々、大小さまざまな怒りの感情が芽生える。「不要な怒り」によって心が消耗してしまわないよう、その見極め方と対処法を現役の人気僧侶が解説する。※本稿は、大愚元勝『自分という壁 自分の心に振り回されない29の方法』(アスコム)の一部を抜粋・編集したものです。

必要な怒りと不要な怒りは
こうやって見極められる

「もし、大愚和尚が見ず知らずの人に理由もなく殴りかかってこられたらどうしますか?お坊さんだから、怒らずに冷静に対処しますか?」

 こんな質問をよくいただきます。

 私の答えはこうです。

「戦います。一発殴られたら、倍返しします」

 みなさん「ええっ!」と驚かれます。

 もちろんこれは冗談ですが(笑)、攻撃されたら戦うか逃げるかの反応を示すのは、生きものとして当然のこと。自然界では一方的にやられっぱなしになることを受け入れたら、死を意味するからです。

「怒り」は、なんらかのかたちで他者から「攻撃を受けた」「自分の心身を害された」と脳が判断したときに生まれます。これは、生きものがみな持っている感情で、生き延びていくために必要なものです。

 しかし、現代社会のなかで突然、目の前に敵ーー例えばライオンやトラが現れて自分の生命が脅かされるということは、そうそうありません(最近は残念ながら物騒な世の中になってきているので、冒頭のようなケースが絶対にないとはいい切れませんが)。

 それなのに、私たちは生活のなかで頻繁にイライラし、怒りを感じています。それは、自分の心の中に「ライオン」がいるからです。心の中の「自分の妄想」によって、見えない敵と戦っているのです。