自動車・サプライヤー SOS#6Photo:lisegagne/gettyimages

日本の自動車部品メーカーは、完成車メーカーなど顧客企業に「おんぶにだっこ」であり、自社には経営企画部はおろか、営業部も持たない企業が多い。こうしたサプライヤーの依存体質が、EV時代への対応の遅れや、自動車メーカーと対等な開発パートナーになれない問題を引き起こしている。特集『自動車・サプライヤー SOS』の#6では、自動車部品メーカーの幹部ら250人から回答を得たアンケートの結果を基に、自動車業界における相互依存の問題に迫る。(ダイヤモンド編集部副編集長 千本木啓文)

経営企画部や営業部を持たず
付和雷同では「激変期」に対応できず

「日本の自動車サプライヤーの最大の問題は、電気自動車(EV)の波に乗れていないことにある。このままでは事業が縮小し、死活問題になりかねない」

 大手自動車メーカー関係者は、自動車業界の問題点を指摘する。

 EVの普及にはブレーキがかかっているとはいえ、長期的にEVの比率は高まるとみられる。

 中国や米テスラといった海外のEVメーカーに比べて、EVシフトに出遅れているのは、日本の自動車メーカーだけでなく、部品メーカーも同じなのだ。

 ダイヤモンド編集部は、自動車部品メーカーのEVへの対応の実態を明らかにするため、サプライヤー幹部らを対象にした緊急アンケートを実施した。

 アンケートでは、回答者の過半がEVの普及を見据えて手を打っていることが分かったが、EV時代にシェアを確保するために重要な、部品の海外製造には慎重であることなどがうかがえた。

 次ページでは、サプライヤーのEV対応や、海外現地生産の方針、経営統合や非車載事業への多角化といった生き残り戦略などをアンケートの回答から解明する。